トランプ減税でアメリカ経済が終わる理由

今年に入ってから、去年のアメリカ株の暴騰は何だったのかと思うくらい株価が伸び悩んでいます。リーマンショックからそろそろ10年経とうとしていますし、「そろそろ大規模な調整局面が来るのではないか」と不安になる人は多いのではないでしょうか?あんぞーもその不安に悩まされている一人です。しかし、不安だからといって祈っていてもらちがあかないので、自分は現状をなるべく理解するように努力しています。

 

では実際に今の米国経済にどんな不安材料があるのか?James Rickards氏(ベストセラー『通貨戦争』の著書で経済評論家・投資家)曰く以下の4つの不安材料があるそうです。

  1. アメリカ経済の成長の衰え
  2. 貿易戦争
  3. 地政学リスク
  4. テクノロジーセクターへの規制

それぞれの事象で「好影響」か「悪影響」の二つの結果が期待できるので、これだけでも4^2で16通りの結末が想像できます。

まず、2番の貿易戦争は中国とのいざこざで、地政学リスクは主に北朝鮮とシリアと戦争するかもしれない不安ですね。この辺は考えてもあまり意味がない(トランプや北朝鮮は予測不能なので)ので飛ばします。テクノロジーセクターへの規制も、先月あったFacebookの情報漏洩問題や、巨大テック企業が我々のデータを不正に使っているのではないかという疑念によるもので、着実に規制は行われると思います(いつになってどれくらいの規制かとかは知りませんが)。これらは実際に起こってみないと株価に与える影響は未知数なので今回は特に考察しません。むしろ厄介なのは1番のアメリカ経済の成長の衰えだと思います。この辺の話はちょっとニュースを見ただけで理解できる人は少ないと思います。ということで、自分の理解のためにもまとめてみることにしました。

 

アメリカ経済が衰退する理由

利上げ

まず考えられるのがFRB金利の利上げにより経済の勢いが減衰する可能性です。FRBが少しでも利上げのペースや仕方を間違えるだけで、世界経済に多大な影響を与えることでしょう。

いやでもFRBにはアメリカでも屈指の賢い人たちがいるし、大丈夫でしょ?!

と安易に考えるのは危険です。なぜなら、

歴史上どの国もこれまでの様な大規模な金融緩和(QE)をした事は一度もなく、さらにQE後の利上げもしたことがないからです。

やったこと無いので分からなくて当然です。経済の様な非常に複雑で不確実性の高いカオス的な構造をもつ現象ならなおさらで、微妙なやり方の差でも結果に大きな影響を与えてしまうのです。

 

トランプ減税の罠

もう一つ経済の成長に悪影響を与える可能性があるのが、意外かもしれませんが、トランプ減税です。トランプ減税は簡単にまとめると、企業の法人税を35%から21%へ減税し、個人の所得税も減税するというまさに神の様な税制法案です。多くの人はこの減税法案が効いてこれからもアメリカ経済は成長し続けると信じているかもしれませんが、自分はかなり懐疑的です。そもそも、今既に好景気なのになぜ減税をするのか?

ケインズによると、国家が減税をするべきタイミングは、不況などにより経済が冷え込んだ時に雇用や企業利益を増やすためで、むしろ好景気の時は増税して国債の返済や、来るべき次の不況に備えてお金を貯めるべきなのです。

減税信者の言い分では、減税により国内の投資と雇用が増え、経済は成長するとの事ですが、既にアメリカの失業率は4%でこれ以上改善したところでそこまで大きな影響はないでしょう???

国内投資が増えるといってますが、今アメリカの企業は投資より株主に配当や自社株買いで利益を還元しています。さらに利益が出ても儲かるのは投資家で(やったー)、経済全体で見るとたいして(というか全く)成長はしないのです。

つまりトランプがしようとしてることはケインズの考えの逆なのです。さて、近代経済学の生みの親ケインズと暴君トランプ、あなたはどっちを信じますか?

 

レーガノミクスという甘い罠

しかし、こういう事をいうと次のような反論がくるかもしれません。

「いやでも、レーガン大統領時代に大規模な減税をして、そのおかげでアメリカ経済は大きく回復したよ!?」

確かにレーガン大統領のおかげで1983年から1986年の間で16%の経済成長を実現しています(年5%)。しかしこの事実だけで減税=経済成長と決めつけるのはかなり危険で早計です。f:id:anzou155:20180521182921p:plain

まず、レーガン大統領の時代と今とでは全くといって良いほど前提条件が異なります。

一つ目は、レーガンが就く前の1981年から1982年の間にかなり大きな不況があり、ビジネスサイクル的に考えても不況終わりの1983年以降に大きな経済回復があることはどのみち期待されていたという事です。

もう一つが、レーガン大統領はかなりの浪費家だったという事です。レーガン就任前と後では、アメリカの債務対GDP比は35%くらいだったのに対し、就任後は55%にまで増加しました。これは実に60%の増加です。

つまり、1983年から1986年の経済成長はビジネスサイクルとレーガンのスペンディングによるものが大きかったと言えます。

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では2018年はどうでしょう?まず債務対GDP比は105%です。債務対GDP比が9割を越えると経済成長が起きなくなるというデータもあり、債務対GDP比のこれ以上の増加は経済にとって大きなマイナス効果であるのは自明だと思います。

さらに、今はリーマンショック以降続いた景気拡大期の9年目です。壊滅的な不況から出てきたわけではありません。つまり、レーガン大統領の時代と前提が違う(というか真逆)なのです。

 

まとめ

以上のことからあんぞうはトランプ減税を支持しません。短期的に投資家や国民を騙すという観点で考えれば素晴らしい法案だと思いますが、甘い蜜ほど毒を持っているということを肝に命じ、これからの景気後退局面に備えたいと思います。

 

では🙏